浅黒い肌に太い眉毛が特徴的で、セフレの関係になったのは半年ほど前。
これまで何人かと関係を持ったが、彼のような人は初めてだった。
男の私に「女」を自覚させてくれる、そんなセックスをした。
確かに私には子どもはおらず、妻も仕事で家を空けることは多い。
ここで関係を迫ってくるのなら、もう会わないでおこうと考えていたが、
貴美子とは私の女のときの名前である。本名は公夫だ。
私の中にある「雌」をじんわりと高めながら、それが最高潮になったときに
背徳感が燃え上がり、色々な物に申し訳ないと思う一方で
「普段、生活してるところでセックスするのはキモチイイよ」
「明日は仕事で夜が遅いから。そういえば、あなたも出かけるとか言ってなかった?」
妻の朋美は手早く朝食を済ませると、化粧に取り掛かった。
妻は顔に色々な粉を慌ただしく塗りたくり、手で頬をパンパンと叩いた。
出会った時はボーイッシュなところに惹かれたのだが、いまではその欠片もない。
ショートヘアーだった髪は、ほとんど刈り上げられている。
背も高く体格も良いので、女軍曹のような見た目だった。
すべての言葉を言い終える前に妻は家から出て行った。
(……明日、朋美がいないのなら家で出来るんじゃないだろうか)
ホテルへ行く前に軽く食事を取るのがお決まりのコースだった。
そのときはファミレスで私はサンドイッチを、達夫はカツカレーを食べていた。
そう言って達夫はタバコに火を付けた。カレーはすでに綺麗に平らげている。
ここぞとばかりに誘ってくることを期待したから喋ったのだ。
端からは友人同士で昼食を食べているように見えるだろう。
「どうしたんだい?何か言いたそうな顔をしているけど」
達夫の嫌らしい笑みで気づいてしまった。この男は私に言わそうとしている。
店内は昼時ということで混んでいる。人に聞かれると思うと言葉に詰まってしまう。
達夫が口から吐き出した煙が私の鼻孔に流れ込んでくる。
周りの音が一気に引いて、心臓の音だけが響いていた。
自分が達夫の妻であることを擬似的にでも味わえるのは
手早く済ませる妻とは違い、じっくりと顔に女の色をのせていく。
男の面影がなくなっていくと同時に本当の自分が顔を覗かせる。
しかし、いま私は肉の願望に従って男の精を求めている。
肩を大きく露出した黒のドレス。一番のお気に入りだ。
貪るような唇同士。彼の煙草臭さに頭が蕩けそうになる。
そうなると否応無しに男の部分が出てくるわけだけど、
達夫はそういったところを愛撫しながら、女に変えていく。
黒々とした陰毛から覗くそれは密林からこちらを見つめる獰猛な獣だ。
私は草食動物のように怯えながらも、はっきりと雌の疼きを感じていた。
彼は私の体で興奮していると思うと、女としての自信が湧き上がる。
私の雌棒も大きさは彼に遠く及ばないが勃起していた。
すでに散々と焦らされていたので、先端からは汁を垂らしている。
ああ、本当の女ならばここで彼を受け入れることができるのに。
お互いを重ねあわせ、私は奉仕するように腰を動かした。
「ふふ、奥さんが見たらどう思うかな?旦那がこんな女々しい野郎だったなんて」
血が一気に沸点まで到達し、目の前の男のことしか考えられなくなる。
肉棒が迫ってくる。私は口を開けて、それを受け止める。
塩っぱさと苦味が交じり合うこの世界で一番の甘いキャンディー。
ヌルヌルと侵入してくる肉棒が自分の性別を教えてくれる。
達夫はセックスが上手い。ただ己の欲望を発散させるだけではなく、
奥まで入った彼の肉棒の先はきっと腸なんだろうけど、
氷の手で首筋を撫でられたみたいに余韻が一気に引いていく。
誰かいるのだろうかと思ってじっとそこを見ていると、クローゼットが開いた。
そこには妻と見知らぬ女性が立っていた。2人とも下着姿だった。
女性は20代前半くらいだろうか、妻とは対照的な長い黒髪だった。
「私のガールフレンド、有希ちゃん。あなたには隠してたけど、私はバイなの」
整った顔立ちで白く綺麗な肌をしているが、いまはそれが真っ赤になっている。
「達夫といいます。まぁ、旦那さんのボーイフレンドといったところでしょうか」
達夫は少々困惑している様子だったが、意外にも落ち着いていた。
「あなたが女っぽいとは思っていたけど、まさかこんな趣味があったなんてね」
「旦那さんはとっても良い女ですよ。男に媚びるのが上手い」
「でしょうね。さきほどのセックスなんて見事だったもの。まるでAV女優みたい」
妻は反応は理解を越えていた。驚きもせず、むしろ楽しんでいる様子さえ伺える。
「ねえ、あなたたちが来たせいで、私達の逢引が中断されちゃったの。
おまけにあんなの見せられたら、私もこの子も興奮してきちゃった。